「マーケティング」と聞いて、何を思い浮かべますか?
想像してみてください。
う〜ん、具体的に何を示している言葉なのか。
なんか良く分からない言葉ですね。
market (市場) を ing する?
ますます分からなくなってきました。
まずはマーケティングの定義から
マーケティングの定義で注意していただきたいのは、これが正しいと一つに正解を求めて決めることではありません。
一つの言葉でも、立場や解釈された時代によっていろいろな意味合いや概念が含まれていることを味わってみてください。
それでは見ていきましょう。
マーケティングの定義を紐解くと
ウィキペディアでは、
企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。 / マーケティング - Wikipedia
概念であると。時代と共に様々に変遷するものであると。
マーケティングという概念が生まれた発祥の地、アメリカ・マーケティング協会によるマーケティングの定義 (Approved July 2013)
マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。
英語版
Marketing is the activity, set of institutions, and processes for creating, communicating, delivering, and exchanging offerings that have value for customers, clients, partners, and society at large. / Definition of Marketing - AMA
時代に合わせてマーケティングの定義を何回か改定しているのが興味深い。
日本マーケティング協会によるマーケティングの定義 (1990年)
マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。 / マーケティング定義 - 日本マーケティング協会
フィリップ・コトラーによるマーケティングの定義
マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセス
ピーター・ドラッカーによるマーケティングの定義
マーケティングの究極の目標は、セリング(単純なる販売活動)をなくすことである
セオドア・レビットによるマーケティングの定義
マーケティングとは、顧客の創造である
広辞苑によるマーケティングの定義
商品の販売やサービスなどを促進するための活動。市場活動
岩波現代経済学事典によるマーケティングの定義
企業が行う市場需要の創造・開拓・拡大を目的とした活動のことであり,より具体的には顧客ニーズを充足させるための仕組みづくりと,その仕組みに基づいて行う市場活動・市場実践をいう。
マーケティングの定義だけでも、団体、学者個人によってそれぞれ捉え方があるのが分かります。
さらに「●●マーケティング」と言って提唱されて、様々な言葉が生まれてきます。
それだけ世の中が変化している証拠といえるかもしれない。
流行的にもてはやされては消えていく言葉も一面にあります。
バスワードというものですね。
さらに一つの手法がマーケティングといっている場合や
広告宣伝がマーケティングと狭く捉えている場合もあり、
そもそも「マーケティング」って何?ってなっちゃいますね。
日本でのマーケティングは大企業中心
日本でのマーケティングは、戦後大量生産・大量消費の経済成長のもと、
大量プロモーションを前提として一様の消費者にマーケティングを行っていました。
いわゆるマスマーケティングというもの。
マーケティング活動も大企業の部署の一部で取り組み、
おもに広告宣伝、販売促進活動をすることが
マーケティングとの認識で拡がります。
その前提は、
- モノ不足で需要が顕在化している
- 良い製品を作れば売れる
- 棚に並べておけば勝手に売れる
経済全体が右肩上がりで成長しているという前提。
あとはテレビCMや広告を打てば、トレンドがつくれて商品が動いていくという時代だった。
マーケティング = 広告宣伝、販売促進の方程式が成り立っていた。
しかし、1990年代のバブル崩壊、その前提も徐々に崩れていきます。
そして前提も変わります。
- モノが有り余って需要が見えなくなった
- 何を作ればいいのか分からなくなった
- 良い製品を作っても興味を持ってもらえない
消費者を見失った時代ともいえる。
流行好きな日本人の特性からブームを煽って作り出すしかなくなったり、
値段を下げればいいと安易に低価格戦略のあげく
一時的な盛り上がりに終始したり、消費者の信頼を下げたり。
その結果2001年には、デフレ経済になっていったのはご存じの通り。
情報が溢れる時代に応えることのできるマーケティング
そして現在は、顧客を徹底して知り尽くすことが勝負の分かれ目になりつつあります。
いままでのマーケティングは、商品を市場に流すことを中心に組み立ててきましたが、
今は、視点が180度変わって顧客を中心にニーズを的確に掴んで、
そのニーズを商品やサービス、または事業そのものに反映できるかの競争です。
しかし今までの成功体験を捨てきれず変わりきれなかったり、
事業の根幹から見直さなければマーケティングが充分にできない状態です。
事業運営も組織体制も不十分。まだ過渡期。
変わるって言ってもどう変われば...
その前提は
- インターネットが当たり前になり、調べられる情報がいっぱいある
- 生活者は豊富な情報をもって生き方や価値観が多種多様になっている
- 良い製品やサービスを作っても知ってもらう前に埋もれてしまう
情報が溢れる時代に応えることのできるマーケティングが求められているといえるでしょう。
マーケティングの定義にはじまり、日本でのマーケティングを振り返って将来も考察してみました。
次回は、「中小企業の経営者にとってマーケティングとは」を考察してみたいと思います。